以前からずっと夢想していたＪＲ四国の「バースデーきっぷ」を使用する旅がようやく実現の運びとなり、西土佐・西予地方を回りました。
このきっぷの最大のメリットは、あらゆる席種（グリーン車や指定席）を思いのままに取れるところです。このメリットを最大に生かし、ひたすら特急に乗って、ひとり悦に入るだけの旅です。
【実行日：平成27年11月26～29日】
木曜日の夜ということで、空いていた。
乗車する際に「スタンプカードはお持ちですか？」と聞かれた。このバスに６回ぐらい乗ると１回無料になるらしい。両備バスは岡山県でその名を知らぬ者はいないほどの会社だという認識だったので、さすがやることが違う、と思った。
◆岡山7：55→8：34坂出8：40→8：46丸亀 瀬戸大橋線・予讃線 快速「マリンライナー」／特急「しまんと」 自由席
夜行バスは快適とはいいがたいが、それだけに西へ来たという高揚感はひとしおであった。新幹線や飛行機では味わえない、瀬戸大橋を渡ってこその四国。
丸亀では「つづみ」という店で、早くも讃岐うどんを食べた。
もはや四国に来たなら、外せない。そのことで頭が一杯で、丸亀城を見忘れた。
◆丸亀9：36→13：24中村 土讃線 特急南風３号 ｸﾞﾘｰﾝ車
ここで早くもグリーン車に乗車し、バースデーきっぷの旨味を最大限に活かす。
通しで乗る客が多く、グリーン車は4～5人ほどで推移。
四国特有の振り子気動車「アンパンマン列車」で、乗り心地は概してよかった。
◆中村13：39→15：24足摺岬 高知西南交通
このバスは、途中とんでもなく狭い道を走った。土佐清水市に入って、中の浜集落、もう一つは白碆集落付近の道が、もう一方通行でもいいだろと思うようなワンダーロードなのである。この路線バスは、ここが最大の見どころと言ってもいいだろう。よくこんな道を運転できるなと、運転手の人に感服するしかなかった。ただ以布利集落や中の浜集落は、新しいトンネルが出来ているにもかかわらず集落の狭い道を通っているため、レンタカーで来ればかなり時間としては巻けるのではないか。まあ、白碆付近の道は避けて通れないので、相当の運転技術が要求されることに変わりないが…
今回は往復西岸回りだったが、東岸回りというバスもある。地図で見ると東岸のほうがもっと凄まじい道のようであるため、一度体験してみたいものだと思った。乗客は4～8人で推移した。
足摺岬は一言で言うとかなり怪しげな場所だった。
灯台を望む風景などはとても雄大で素晴らしいのだが、遊歩道が樹海の隙間を縫うように走っていて、道の真ん中に雑木が聳えていたり、東日本ではいない鳥のさえずりが至る場所から聞こえてきて、強烈に幽邃な場所という印象を受けた。とくに暗くなってくると、ある種の妖気を醸し出していた。
西側の白山洞門にも行ったが、ここで死んでも誰にも気づかれないだろうなとか、いろいろなことが頭をよぎった。
洞門のとなりに白山神社があり、祠が危険な場所にあるので手前の鳥居でご遥拝ください、という看板があり、あえなく断念した。帰宅後動画で祠の映像を見たが、行かなくてよかったと思った。
私は２時間ぐらい岬周辺にいたが、３８番札所の金剛福寺を訪れるお遍路さんがあとを絶たなかった。過去２回の四国訪問ではあまりお遍路さんの影を見ていなかったので、ブームになっているのかな、と感じた。元総理の本も出版されたようだし…
お遍路さんも、一緒に路線バスで来た人や、観光バス、自家用車などそのアプローチ方法はさまざまのようだ。自分も金剛福寺に参拝したが、お遍路さんたちが南無阿弥陀を唱えている横で、とても虚しい気持ちになってしまった。
最後に、５年前にオープンしたという、万次郎足湯へ。誰もいなかった。足摺岬の寂れようは他地方の未来を予見しているかのようだった。
関東から遠く離れたこの地に住めば、全く違う人生を歩めるんじゃないか…
◆足摺岬17：46→19：26中村 高知西南交通
最終バスに置いていかれそうになり、焦った。
帰りは一番前の席に座って前面がぶりつきをやろうと思ったのに、来た車両は運転手横の座席がないタイプだった。清水プラザパルまで1人。その後は記憶がない。
夕食は、サンリバー四万十という道の駅で「鰹の塩たたき丼」というのを食べた。塩たたきは中村の名物らしい。これは美味だった。
宿は私1人。ここまでお遍路さん以外の旅行客に会っていない。やっぱり四国はいいなぁ。
（２日目へ続く）
