アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

函館真冬の鉄道落穂拾い(2)

 

函館駅前7:09→8:13上瀬田来 函館バス91系統

旧戸井線のアーチ橋を見るために恵山行きバスに乗り込む。恵山に向かうバスは途中までずっと市電と並行して走っていた。
戸井線とは、戦時中に着工したがそのままになってしまった旧国鉄未成線のことである。
この日は氷点下6℃という予報で全く気が進まなかったが、またとない機会であるので向かう。
まず上瀬田来というバス停で下車し、一つ目のアーチ橋を見学。

 

アーチの下には民家が並んでいる。バス停から見るアーチ橋は補強されており、しかも避難場所として活用されているので上に登れるが何もなかった。
夏は草ぼうぼうでたどり着けないらしいが、冬真っ只中ではしっかりとアーチの上の足場を踏みしめることができた。
隣で民家の改装をやっていて、朝っぱらから錆びた階段を軋ませながら歩いていく輩が怪訝な目で見られたのは言うまでもない。

f:id:haruna115:20220314194728j:plain

瀬田来町アーチ橋

隣の汐首灯台前バス停まで歩く。途中に本州北海道最短の地という新しめの看板がある。
この日は割と空気が澄んでいて下北半島を一望できた。知内方面の山々。この距離なら橋かけられそうとつい思ってしまう。

f:id:haruna115:20220314194754j:plain

この看板を見に来た

看板からさらに西寄りへ5分ぐらい歩いて行くと汐首灯台バス停があり、その先に近代産業遺産戸井線アーチ橋が見える。

f:id:haruna115:20220314194830j:plain

戸井線アーチ橋

この汐首灯台付近にあるアーチ橋がもっと有名と言われており観光パンフレットなどでの露出が多い。
戸井線の遺構は結構点在しているので見つければ他にもあるらしい。老朽化が進んでいるそうだが大丈夫なんだろうか。
戸井線は結局営業路線としては開業しなかったので、北海道内でも数少ない未成線の遺構となっている。

ただアーチ橋の周りは本当に何もない。最寄りのコンビニまで1時間という体たらくの立地。路線バスで行くなら、特にトイレは覚悟して向かって行った方がいい。とにかく寒すぎるの一言。

汐首灯台9:14→10:18函館駅函館バス91系統

上りのバスは地元客を満載し満席かそれ以上だった。爆睡。

 

函館10:55→11:22新函館北斗12:48→13:35奥津軽いまべつ 北海道新幹線

同じ時間帯にはこだてライナーもあるが、昨日と同じキハで新函館北斗駅まで向かう。

f:id:haruna115:20220314194903j:plain

普通列車 森行き(道南海の恵み号)

相変わらず人のまばらな新函館北斗駅とその横にある交流センターほっくる。
蔓延防止措置で駅の観光案内所は休みになっていた。
全世界で水際対策が緩和に向かおうとしているなか、未だに「抑え込むことが大事」などという張り紙がそこら中にあることに呆れてしまう。パンデミックと高齢者社会の相性は悪い意味でいいのかもしれない。

 

ほっくるは一昨年来た時よりもさらにテナントが減っていた。
新八雲駅新小樽駅は駅前に特に商業施設を作らないとのことであるし、やはり人口減少時代では今後はそのような形がトレンドになるのかと思わされる。

f:id:haruna115:20220314195410j:plain

新函館北斗駅

北海道新幹線の単なる乗りつぶしというのは虚しい。
北海道新幹線としては初めてだが、青函トンネル区間は海峡線の時に何度も乗っているので新鮮味も特になく、特に青函トンネル区間は新幹線といっても時速150km弱しか出ていないしトンネルばかり。
海峡線の時はスーパー白鳥や白鳥号で只今青函トンネルに入りました、などとアナウンスが車掌によってはあったが新幹線では車内モニターによる案内のみ。
これだけでは青函トンネルの価値はどんどん没落していくばかりだ。奥津軽いまべつ駅は5年ぶりの訪問。これでJR北海道完全乗車達成。これで残るは宮城・福島県の一部のみ。

奥津軽いまべつ駅に来ていた津軽中里駅からの乗合バスは前回乗ったがあの後2年足らずであえなく廃止され、今は予約制のタクシーに変わっているらしい。
駅スタンプにも日本一小さい新幹線の駅と謳われてしまうほど。
北海道新幹線の駅で素晴らしいと思うのは、トイレの個室感が比類なく立派なことだ。全国にこのようなトイレを普及させるべき。

新幹線の乗車率については、常磐線の宮城側で特急ひたち10両で過剰などと言われるのがかわいいレベルだというのはものすごく感じた。

木古内15:05→15:12鶴岡禅燈寺前 函館バス

鉄道ファンの間で非常に評価の高いと言われる「木古内町郷土資料館いかりん館」に向かう。
江差行きのバスに絶妙に接続し最寄り停留所へ。いかりん館は鶴岡禅燈寺前バス停の目の前。


展示されている内容がすごい。松前線の入場券集、駅名標木古内ゆかりの鉄道の品に絞られているといえども、よくここまで揃えたなと感心する。
江差線廃線の時に掲げられた看板屋スーパー白鳥の引退時の横断幕などがある。
北海道新幹線ができるはるか前の1999年から2006年まで、海峡線には「ドラえもん海底列車」というイベント列車が走っていたが、その頃の旗がほぼ全てあるのには驚愕した。

ここでは語りつくせないがJR北海道の制服やシャツまで飾ってある。その辺の博物館並みの収蔵施設。

f:id:haruna115:20220314195134j:plain

いかりん館鉄道コーナー

道南一日散歩きっぷなんてあったんだという発見もあった。
現在の道内の鉄道の惨憺たる状況と比較すると、展示されている過去はいつを切り取っても輝かしい。2000年代の話すら遠い昔のように思える。
展示を見終わって外を出ると大雪で、木古内駅のまでの道をひいひい言いながら30分ほど歩いた。

木古内16:32→17:29函館 道南いさりび鉄道線

道南いさりび鉄道初乗車。前回は五稜郭駅で鉄印を購入して乗車を端折ってしまった。
江差線の時に乗ったことがある区間ではあったが、札苅〜上磯間の函館方面に向かって右側の風景は素晴らしい。冬の荒れる海…
結局函館までずっと4,5人程度だった。

函館に帰ってきて千歳町電停前の店でスープカレーを食べた。チキンが大きくてとても美味だ。野菜もとれるし。

千歳町18:28→18:48谷地頭19:03→19:11十字街19:11→19:18函館どつく前19:21→19:26末広町19:49→19:59函館駅函館市電

さすがの私でも函館山に一人で登ることはしないが、ホテルに帰ったらこの寒さの中に戻れなくなるのは目に見えているので函館市電乗りつぶしに勤しむ。
土曜日の夜ということもあり乗客が少なく、終点近くになると私だけになることもあった。これで北海道の軌道交通で乗っていないのは札幌市電のみになった。
少しぐらい観光客らしいことをしないとと思って、函館山の麓にある八幡坂の夜景を少し鑑賞した。

f:id:haruna115:20220314195212j:plain

八幡坂


今日は17時30分で旅程を終えるつもりだったのにまたズルズルいってしまった。

なお、函館市電は19時を過ぎると本数が急激に減るので注意。

(終)

北の大地の入場券 52→55/86種類(旧日高線を含む数)