アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

本州最東端・魹ケ崎(2)

本州四端のうち大間崎と潮岬は既に行ったことがある。
宮古にも当時来たことがあったが、あまりに到達難易度の高い最東端の岬に行くのは諦めてしまって、本当の意味で制覇したとは言えないところが少し心残りだった。
いまも本州四端に行ったことを申請すれば完全制覇証明書がもらえるが、私は大間崎の証明書が行方不明なのと毘沙ノ鼻(西端)に行ったことがないため、まだ発行できずにいる。

その後、いろいろ調べる中で本州最東端の魹ヶ崎というところは公共交通(路線バス)で行けなくはないことがわかった。ただし最寄りバス停までの路線バスは壊滅的なほど少ない。2012年頃までは最寄りバス停から難なく訪問することができたようだが、その後更に減便されており(2→1.5往復)、現在トレイルに使えるのは事実上朝の往路1本しかない。帰りは6キロ近く手前のバス停まで歩かなくてはいけない。
このままでは自家用車以外での訪問が不可能になってしまう日もそう遠くないと思われた。
路線バスが廃止されたり歩道が災害で通れなくなってしまう前に自力で訪れたいという気持ちは蓄積されていた。加えて、歩くなら夏以外の時期にしたかった。
この積年の思いを今日で晴らすためこの岩手県宮古市まで前泊してまで来たのだ。
運動不足の自分がこんなトレッキングできるのかという不安もあったが、がんばりたい。

※今回魹ヶ崎だけにターゲットを絞っていますが、観光なら単純に車で行った方がいいと思います。

2021年5月4日(火祝)

宮古駅前8:30→9:43姉吉 岩手県北バス B32系統 石浜行き

朝、宮古駅のコインロッカーに荷物を預けて、駅そば(宮古そば)を食べて出発。

 

朝8時30分発の石浜行きという路線バスで姉吉というバス停まで行くとそこが魹ヶ崎への最寄りである。
まず最初の難関として、この姉吉まで行くバスはこの朝と夕方の1本ずつしかない。1998年頃までは石浜集落の先にも路線が伸びていて、宮脇俊三氏の「ローカルバスの終点へ」でも取り上げられたことがある。

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石浜行き

釜ケ沢ー白浜間はリアス式海岸の海べりを縫うように走る。海がきれい。

白浜バス停から先は私しかいなくなってしまった。このバスは新聞配達を兼ねているらしく笹見内というバス停あたりから、集会所のような施設でご高齢の住民に新聞を手渡していた。

重茂車庫での休憩時に運転士と談笑。何日か前にも大阪から来て、同じように路線バスで魹ヶ崎を訪問した女性がいたとのこと。
その人も同じように姉吉で降りて帰りは里まで歩いてきたらしい。いや先人がいるのは心強いな〜。

しかし車内から見ていて里から姉吉までのあまりの酷道ぶりにかなりびびる。これを帰りは歩くのかい…
この重茂半島自体、路線バス自体が走るような道とは到底言い難い狭隘道路ばかりなので、座席から眺めていて運転士の技術力に感服するばかりだった。
そういうわけでついに来たぞ姉吉バス停!姉吉で運転士に見送られ、華々しくスタート。

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姉吉バス停

10:00 姉吉キャンプ場

バス停から17分ほど歩くと姉吉キャンプ場に着く。
ここはトイレと自販機が1台置いてあり、特に自販機はこの先には全くないため、最後の飲料補給ができる場所となる。(トイレはキャンプ場のほか、魹ヶ崎歩道入口にもあります)
姉吉キャンプ場はデイキャンプ場なので宿泊はできないらしい。大型連休のため、けっこうな台数のクルマが停まっていた。

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姉吉キャンプ場



キャンプ場を過ぎて漁港の方に歩いていくと、左に入り口看板がある。

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遊歩道入口


歩道入口は令和元年台風19号被害で崩れて岩だらけになってしまったらしく、初見だと分かりにくい。最近道が若干整備されたようで歩きやすくなっていた。

最初からいきなり上り坂が続くが、じき最高地点の看板があり下りになる。3.8キロは長い。延々と歩くのみ。

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最高地点からが長い道のり


ところどころ令和元年台風19号で抉られたような場所があるが、きちんと崩れかけた沢に岩が転がっているところを何とか歩けるようにはしてくれており、そんなに歩くのは難しくない。
最後、姉吉から最後の魹ヶ埼目前の山ん中ですれ違った地元人に、ここが一番クマやマムシが出るから気をつけろと脅される。この方によると2度ほどクマのうめき声を聞いたことがあるとのこと。
確かに熊鈴を持って来なかったのはちょっと失敗だったかな。いかに私が歩き慣れていないかを実感させられる。
これ、ゴールデンウィークだからある程度人とすれ違うし、熊鈴を携えた人も割といたので良かったけど、平日に来ていたら絶対に対策は必要だろう。

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海が見えてきたらもうすぐ


歩道の途中から全くauの電波を拾わなくなり圏外ばかり。熊に襲われたら一巻の終わりだという気持ちになった。まあこれだけ人が歩いてるし熊鈴持ってる人が多いんだから大丈夫だろうと高をくくるダメ人間になっていた。

11:00 魹ヶ崎到着

ついに来た!最難関制覇!

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魹ヶ崎


やっと来たという達成感はあったがあまり感慨は沸かず、このまままっすぐ歩いて行ったら断崖絶壁なので間違いなく死ぬわとしょうもないことを考えていた。波照間島の最南端(高那崎)もこんな感じだったなと思い出した。
灯台の横の休憩所でコンビニで買った非常食(昼食)を食べた。最東端の碑と灯台は少し離れているので注意。

11:28 魹ヶ崎出発

ここから帰りの道の方がしんどいのが明白だが、挑むしかない。

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気力だけで歩く 。帰りは海が見えてもなかなかキャンプ場に着けない


岬で30分弱なんてあっという間に過ぎる。このトレッキングコースは帰りの方が登り道が多いので足にじわじわとくる。

歯を食いしばりつつ魹ヶ崎の遊歩道の出口(入口)に戻ってきた。魹ヶ崎トレイルコースの案内板を眺めている男の人にここから結構あるんですかと言われ、1時間ぐらいありますよという答える。いやーなかなか大変そうですねえと言われる。しかしこの他愛もないやり取りが、後すぐに大きな意味を持つ。

 

12:22 姉吉キャンプ場帰着

しんどいのはここからだ…ここから姉吉バス停を経由して里までギリギリ1時50分には着くかな…

 

そんなことを考えて姉吉キャンプ場を過ぎ、大津波記念碑の横を歩いていたら、入口前で会った男の人が車で通りかかり、さっきの人だよね、まだ歩くのかい、大変じゃないか、乗っていけばといってくれたのでお言葉に甘えることにした。目的地は釜石方面らしいが里バス停ぐらいなら行けるとのこと。
ありがたやありがたや…姉吉から里は5.3キロもあるので本当にありがたい。

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ギブアップ地点(姉吉キャンプ場~姉吉バス停間)


この方のおかげで里に1時間も早く着くことができた。重茂半島の空気を吸いながらぼーっとして過ごした。この方も関東から来たと言っていて、旅行客の多い大型連休でほんとによかった。

 

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里バス停

予想外に時間が余ってしまったので重茂漁港をふらふら歩いて眺めて、ぼんやりする。海際なので寒いな…
里バス停は県道の分岐点にあるため、バス停のベンチに座っていると重茂漁港はどこかとか、道はどっちだとか通りかかるクルマ(観光客)に話しかけられる。
しかしよく話しかけられるなこの旅は…もう6人以上に話しかけられている。

こうして私の公共交通を使った魹ヶ崎挑戦は尻切れトンボの形で終わった。
しかし疲労の重なったまま歩き続けていたら…と思うとドライバー氏には感謝の念しかない。

 

里13:57→14:49信用金庫前 岩手県北バス B31系統 宮古駅前行き

寒々しい海風の中バスを待ち続けて重茂車庫から回送されてきた始発に乗車。私1人。疲れてうたた寝
思わぬ救世主のおかげで体力を温存できたので、盛岡までなんとか乗り切れそうだ。道の駅みやこでマンホールカードをもらう。浄土ヶ浜の遊覧船は廃止されたが復活に向けた動きがあるようだ。

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道の駅みやこ(シートピアなあど)

 

漁協ビル16:00→16:12宮古駅岩手県北バス C02系統 宮古駅前行き

脚の疲労を和らげるため地元の銭湯へ。旭湯。あー、あったまる。ぬるゆとあつい湯が2つありいい湯だった。

 

宮古18:21→20:42盛岡 山田線 642D

乗客10名。陸中川井で真っ暗になり、何度かシカに遭遇し減速。暗闇の山田線を満喫。宮古翌朝5時00分発の列車だと絶対起きられない明日の旅程がうまく繋がらないため、さっさと今日中に戻ることに。とても濃密な1日だった。

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盛岡帰着

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結局全部歩かずして魹ヶ崎訪問を終えた状態で反省の弁を述べるのもおこがましいですが、このルートを取る場合、13時57分発の里発のバスに合わせるのは、普段から運動しているなど、よほどの健脚の持ち主でない限りお勧めしません。
1本後の16時02分発なら自力でも休憩を挟みながら、景色をゆっくりと眺めてちまちまとキャンプ場から里まで歩いて来れると思いますが、13時のバスだと姉吉でトイレ休憩を少しとるぐらいの猶予しか残されず、ほぼ遊歩道や県道を休む間もなく歩き続けなければなりません。
魹ヶ崎への道のりは帰りのほうが上り坂が多いため、心理的なプレッシャーが重なると足腰にこたえます。岬なんて写真を撮っていたら20~30分あっという間に過ぎていくし…

〔参考サイト様↓〕

note.com

ukkari-nihontabi.net

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2021年5月5日(水祝)

盛岡5:56→6:53新花巻7:13→7:20北上 釜石線 1653D・やまびこ50号

朝5時25分に目覚める。体中が痛い。寒い。
釜石線はガラガラ。これで花巻ー新花巻間に乗り、釜石線完乗となった。釜石〜新花巻間はおととしのSL銀河号乗車時に乗っている。

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新花巻駅

やまびこ号の乗車率は自由席でも1割以下。わずか7分ほどの乗車で1,120円。釜石線北上線の相性が悪すぎてこうしないとうまく乗り継げなかった。やっぱり新幹線は日常生活の乗り物にはなりえないな。

 

北上7:38→8:21ほっとゆだ10:46→11:15横手 北上線 727D・快速3729D

キハ100の窓が汚すぎて、写真のピントが合わず不満。2両で乗客6人。


首都圏の通勤路線の収益で賄われているようなものだからいいものの…北上線はかつてあけぼのやはくつるなど数多くの列車が迂回運転で経由したほど存続意義のあった路線だが、路線単体の乗客数は東日本ワースト3に入るほどの閑散路線。キハ110より車体の小さいキハ100で足りてしまうというのはかなりひどい。
ほっとゆだ駅に降り立ち北東北(岩手・秋田・青森)のJR線全ての乗車を完了した。ほっとゆだに降りたのは3人。北東北最後の未乗車区間である柳原〜ほっとゆだ間に乗り、9年前の忘れ物を回収した。ほっとゆだ駅は温泉併設である。風呂に1時間ぐらい入り自律神経を整え、休憩室で休んで次の快速列車を待つ。腹減った…

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列車到着時刻を伝える信号機

 

横手11:34→11:54湯沢12:33→12:53横手14:19→14:36大曲 奥羽線 2438M・2441M・2443M

乗客10名弱。カードのために湯沢まで来たが、連休のため店が全然やってない。昨日に比べ能動的にやることがないため、かなり時間持て余し気味。久しぶりに横手やきそば。そぼろとソースがからみ合う。

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横手焼きそば定食セット(960円)

 

 

大曲14:55→16:56盛岡 田沢湖線 838M

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念願の田沢湖線普通

ゴールデンウィーク最終日で、秋田新幹線の臨時がバンバン出ているためにこの列車の時刻も一部変更されているが、見ている限りこのご時世座席埋まらなさそう…

やっと田沢湖線普通で、全線走破を達成。赤渕春木場小岩井駅秋田新幹線では決して存在を認知できない駅。

何をそんな事でと思われるかもしれないが、これは敢えてこういう行動をしないと絶対に達成できないことをしたことに意義がある。自分の中で大きな区切りになる。

 

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志度内信号場(田沢湖赤渕間)

盛岡17:16→19:26上野 こまち36号

このこまち号は臨時列車だが乗車率は2割ぐらいか。加熱式牛たん弁当は牛たんだけでなく米が美味い。
しかし昼食としてはちょうどいい量だけど夕食としてはどうだろうか…年々値上がりし続けているような(1,380円)。初めて買ったときは1000円台だったのに。

(終)

【今回の成果】
・鉄印 21→23/全40種類

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・駅カード(秋田)7→12/全17種類

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駅カード