アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

札沼線・赤平ガイダンス施設

石狩当別7:51→9:28新十津川 札沼線

札沼線学園都市線北海道医療大学新十津川間は2020年5月7日に廃止される。
3年前に最後かもと惜別乗車をしたが、この最末期になって再び乗る機会が訪れた。

 

廃止区間は特に車窓が変化に富むわけではないが、これほど始発駅と終着駅に落差のある路線はないと思う。
始点は道内一の大都市ターミナル駅で通勤通学路線なのに、ある駅を過ぎた途端に貨車駅舎や無人の板張りホームばかりになる。あげくの果てに終着駅は列車が一日1往復しか来ない。八戸線久慈線大船渡線と盛線のような陸続きで路線名だけが異なるような関係だったらとっくに切り捨てられているような区間が、令和の世まで残ったのは奇跡的ですらある。

 

念を入れて接続する1本前で石狩当別駅に到着。まだ7時18分なのに既に入線していた。ボックスの空きはすでに3つほどにまで減っていた。7時45分着の列車が来るとすぐさま座席は埋まった。この日は約20人だったらしいが、年末年始は90人乗車した日もあったらしい新十津川駅の記録表より)。最近は多客日に増結しているようだが1両で90人は想像するだけで地獄絵図だ。20人でもそこそこ乗ってる感覚なのに。

新十津川行は途中の石狩月形駅で長時間停車する。私は札沼線3回目だが、浦臼行に乗ったり寝落ちしたりでこの散策時間を経験しておらず今回が初となった。1日1回の行き違いを肉眼でたっぷり見物して、これで悔いはない。石狩月形駅到着時の上り列車の乗客は皆無だった。

f:id:haruna115:20200207231010j:plain

廃止目前なので、沿線の駅舎や駅名標は手が加えられていない。於札内の駅名標国鉄タイプ。

新十津川は警備員もいてホーム柵が造成され、以前ののほほんとした感じは薄れ、しっかり観光地になっていた。駅目当てで車で訪れている人も多数。記念証を駅の窓口で役場の職員が配っていて、プレハブの土産屋も駅前にできていた。

f:id:haruna115:20200207231022j:plain

初めて来た2012年なんて誰もいなかったのにな。
さようなら、新十津川駅。別れを告げて役場のバス乗り場へ歩いて行った。

 

■産経会館12:50→13:18赤平消防署 北海道中央バス

滝川駅前で暖を取ろうとするも全く店がやっておらず、松尾ジンギスカンの開店まで駅の待合室で待機。

松尾ジンギスカン滝川本店で、ジンギスカンを食らう。安定の美味。立地的に、中国人がいなかったら打撃だろう。

 

赤平では、2018年から営業している「赤平炭鉱ガイダンス施設」で、元炭鉱マンが説明してくださる見学会に参加することにしていた。住友の炭鉱施設がここで1994年(平成6年)まで操業していた。
坑内トロッコの現物を見て早くも大興奮だ。施設を一通り見てから、機械が保存されている倉庫へ移ってお話を聞いた。以下、覚え書き。

f:id:haruna115:20200207231217j:plain

・1994年に閉山したのは石炭が枯渇したからではない。まだまだ空知の地底に石炭は眠っている。
・職人仕事。見て覚えろ。
・事故防止、坑内で火気を起こさないための数々の工夫。酸素マスクまでも不燃性が考えられている。
・弁当を広げるとネズミが寄ってきた。土埃が舞うと弁当を食べるのも大変。
・良質な石炭は炭素が多く含まれていること。そのような石炭は概ね軽くできている。
・石炭を採掘する機械の搬出に莫大なカネがかかるので、ほとんどは閉山したときにそのまま埋められた。
・一つのトロッコに2.6トンの石炭を積めるようになっていた。 立坑に入れる作業のトロッコは自動化されていた。
・メタンガスはすぐ発火するため女性坑員が坑内の量を逐一チェックしていた。

f:id:haruna115:20200207231430j:plain

お話はとてもためになったが氷点下10度はあろうかという倉庫の中にずっと留まって聞いていたので、足が凍傷になりそうだった。
石炭採掘の見学施設は少ないので、この施設はとても勉強になった。

 

■赤平16:41→16:57滝川17:02→17:55札幌18:05→18:42新千歳空港21:00→22:40羽田空港 根室本線

ガイダンスが熱を帯びて、2時間半かかり、予定していた高速バスが行ってしまったので汽車で帰る。
札幌まで30分ばかりJRのほうが速いが、特急料金を含めると価格は高速バスの1.7倍ぐらいある。
2~3時間に1本しかない普通列車を乗り継ぐよりも、乗り換えなし高速バスのほうが安いのだ。そりゃみんなバス乗るよね…

f:id:haruna115:20200207231537j:plain