アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

S-TRAIN冷やかし隊

勉強に打ち込もうと意気込み、台湾以降は一人暮らしの家に引きこもり状態であった。

GWも遠出することなく家⇔実家を繰り返していたら、調子が変になってしまった。繰り返しと言っても近所のラーメン屋に行ったりプロ野球を観戦したり、出かけていないわけじゃないのだが、何が足りないのか。行きつくのは、毎日が同じことの繰り返しになることが耐えられない自らの体質だ。自分もまだまだ子供だ…

そんなことを嘆きながらも、憂さ晴らしのために秩父に出かけた。

今回の目的は、休日に1往復だけ西武秩父まで走っている「S-TRAIN」に試乗すること。

 

2018年5月13日(日)

■羽生9:31→9:49熊谷 秩父本線 急行秩父

秩父鉄道の急行は急行券が必要という事実を、改札までたどり着いてから初めて知る。窓口の列に並ぶ。券売機で急行券買えないのかい…元西武車のリクライニングシート。首都圏でこんな商売していてよく客がついてくるな…というのが正直な感想。

東京時刻表に料金が必要なんて載ってたかなと思ったが、帰宅後確認したら欄外にしっかり書いてあった。

およそ急行らしい走りとは言えないが、定時に熊谷着。

 

■熊谷10:10→12:50三峰口 SLパレオエクスプレス

かつて高崎に身を置き高崎線を数え切れないほど使い熊谷を幾度となく通りながら、秩父鉄道は今回が初乗車というのも恥ずかしい話。

SLに乗るのは昨年のSL大樹以来。興奮して走り回る子供たちがかわいく見える。目の前にいるC58を見ても何も感じない自分が嫌になる。指定席は満席、自由席はほぼすべてのボックスが埋まり熊谷を出た。

 

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寄居のホームでお囃子を聞き、長瀞で半分ぐらいの客が下車。荒川大橋ではライン下りをしている舟が眼下に見えた。

秩父駅手前では太平洋セメントの工場が見える。現役の貨物駅は美しい。

 

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御花畑から先は勾配がきつく、牽引の衝撃が座席に伝わってくる。この区間だけ乗ればパレオの真髄は見える。

 

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三峰口駅で天玉そば。蒸気機関車お楽しみの機回し及び転車台の回転が折り返し時刻まで行われる。

東武鬼怒川温泉のように派手なショーではなく、淡々と作業を行う。

 

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転車台そばの鉄道車両広場に置いてあった車両は、車体の木枠が朽ち、屋根が落ちていた。1989年に並べたものらしいが、見ていて痛々しい。

秩父鉄道の駅施設からはカネをかけられない苦しい懐事情が伝わってくる。大手私鉄傘下に入ればいいような気もするが、そう簡単でないんだろうし、路線の性格上2つの大手に挟まれた宿命は苦しいものだなと思う。

■三峰口14:03→14:30御花畑西武秩父 SLパレオエクスプレス

いよいよ大雨。帰りも途中までパレオで戻る。自由席の乗客は1両に10人程度。
S-TRAINの発車時刻まで、西武秩父駅の「祭の湯」で癒やされる。

 

西武秩父17:05→18:42池袋 西武秩父線「S-TRAIN4号」

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・十数分前を走る急行を池袋まで抜けない
・池袋では副都心線の駅に着く
・設備が劣るのにレッドアロー号より料金が高い
など、横浜に直通する必要のない客にとってはデメリットが多すぎて、選択肢にすら上がらない列車。

しかし西武沿線外の者にとってはなかなか乗る機会に恵まれない車両であり、だからこそあえて乗ってみたかった。

 

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10両編成。乗客1両に5人程度で、池袋に着くまであまり変わらず。練馬と小竹向原運転停車
座席は通勤仕様だが車両が新しいので快適。しかし私の基準は毎日乗っている房総209系なので、人によりけりだろう。

これから齢重ねて、所得がある程度になると、こんなん乗る気もなくなるんだろうなと思った。絶対レッドアロー一択になる。
そう思うと20代のうちに突拍子もないことをやっておくのは悪くない。