アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

十勝・日高スローライフ(1)

■成田空港20:20→22:00新千歳空港22:53→23:32札幌23:37→5:20釧路

 

この旅の最大の山場は序盤だった。それは旅程を根本から覆しかねない出来事だった。

何の気なしに第3ターミナルからバニラエアに乗り込む。バニラエアに乗るのは初めてだが、目立って他のLCCと変わったところもないのかなぁ。

搭乗案内の備考欄に「引き返すことがあります」と書いてあり、まあ警戒程度の文章なのだろうと思った。このときは…

 

飛行機は若干離陸が遅れたものの、数分の遅れで千歳につくとの案内。

そして着陸態勢に入る。

ところが、ここで急に上昇。機長曰く「この飛行機は成田までのガソリンを確保しています。濃霧で、新千歳空港の誘導灯案内が見えづらくなっていたため、上昇しました。もう一度アプローチして、着陸できない場合は、成田に引き返すことになります」との放送。機内がざわめく。最初の一言で私が何をいいたいのか察しなさいよという感じがした。

2度目のトライではほとんどの乗客が固唾を呑んで窓の外を見ていた。この時点で、当初の予定だった22:35発快速エアポートに乗るのが絶望的になり、もう道内に着けばどこでもいいよという半ば投げやりな気持ちだった。ただ、引き返すのは勘弁してくれという思いでは他の乗客と一心同体だった。

 

そして結果は、なんとか、着陸成功。車内が拍手に包まれ、かつてない体験は終幕した。

 

まだ22:53発の快速エアポート(最終)が残っている。

乗客が機内から出られたのが22:47で、絶望かと思われたが、同じく通路を走る乗客についていったら乗り換え成功。

しかし私には最後の難関が残っていた。札幌駅で高速バスへの乗り換えである。快速エアポートは乗客を待ったため、2分遅れで新千歳空港駅を発車した。このままだと乗り換え時間が3分しかない。

なぜそんなのを選んだのかと叱られそうだが、確かに最初は恵庭あたりのネットカフェで一夜を明かすつもりでいた。ただ自身の元来の目覚めの悪さと一週間の疲れを考えると、翌日起きて特急おおぞらに乗れる自信がなかった。(この懸念はのちに現実に…)

 

遅れがなんとか回復しないかと、札幌までの道のりは時計を睨んでいた。結局1分だけ巻いて、札幌到着。ダッシュで南口のタイムズの前に止まっていた「ニュースター号」に乗り込んだのだった。