アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

秋田県北旅行(1)【秋田内陸線】

約3年前「ブルートレインあけぼの」という宿泊施設が秋田にできたというニュースを見た。
それに触発されて旅程を考え始めたはいいものの、旅立つきっかけがないまま時は経ち…

近く五能線のキハが置き換えられることになったので、実行に移したもの。思い立ったが吉日、のような旅なので、ところどころ旅程は継ぎはぎだらけ。

 

2019年8月1日(木)

■浜松町22:25→7:25角館 羽後交通レイク・ポート号

疲労蓄積するなか、夜行バス。3列シートだと思って期待していたのになんと最後列の4列シートに当たってしまう。
身悶えしながら、朝6時頃まで寝た。

満席だったが途中の横手でほとんど人が降りて私が降りるときには車内に3人しかいなかった。いきなり北東北のど田舎に放り出された気分。 

 

角館では朝食を摂りたいと思い、駅まで5分ほど歩いて、駅の横にある「フォルクローロ角館」で1200円払って朝食を食べた。
他に店が何もやっていないのでここで食べるか、コンビニで買い食いするしか選択肢がないのだ。

食べた後は角館武家屋敷通りを散策した。桜の季節はさぞかしキレイだろうなぁ。

 

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ここまで来て悔いを残したくないので9時から開館したての青柳家武家屋敷に入館し、写真館などを眺めた。じっくり見れば1時間ぐらいかかったと思う。
入ってすぐの屋敷以外は、個人所蔵のコレクターグッズをひたすら並べているような印象を持った。

武家屋敷通り近くのローソンで、職場の近くではいつまでたっても買えない「陽菜のおもてなしチャーハン」を買って駅に戻った。

 

2019年8月2日(金)

■角館9:50→10:51阿仁マタギ 秋田内陸線

秋田内陸線は7年ぶりの乗車。前回は急行でただの乗りとおしだったので、今回は沿線もしっかり回る。
(このブログにも7年前の記事がありますが、 恥ずかしいので省略)

乗客6人。平日だからしょうがないのか。

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阿仁マタギ駅から打当(うっとう)温泉マタギの湯に行く。角館で電話をしたら駅から宿まで送迎してくれた。
1時間ぐらい入っていたが貸し切り状態。硫黄泉を満喫。お湯が熱くて入るのが大変。

風呂上がりのあと、隣のマタギ資料館を鑑賞。
生業としてマタギをやっている人は現在はいないらしい。住民が減って、野生のクマが人里に出てきてしまうような話も聞く。

 

■阿仁マタギ12:44→13:14阿仁合 秋田内陸線

乗客5人程度。

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阿仁合駅は今年の4月にリニューアルオープンして駅舎はきれいになっていた。周囲の建物と不揃いな感じさえした。

駅の中には「こぐま亭」という馬肉メニューが豊富なレストランがある。
永年行きたいと思っていたのでようやく叶えられてうれしい。馬肉シチューを嗜んで満足した。

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店長の麻木さんという人がいたが、めちゃくちゃ律儀そうな方で、このお店が有名になるのも分かる気がした。
内陸線30周年記念誌を食事中に読んでいたが、20年ぐらい前からずいぶんな赤字額がかさんでいるんだなぁ。こんなに地元の首長や住民から「厳しい経営」だとか、「今後も頑張る」とか、沿線にあるものを必死にアピールするフレーズが出てくる鉄道はあまりないのでは。
北海道ちほく高原鉄道のと鉄道能登線のような100km近い路線を持つ秋田内陸線が今日まで生き永らえているのは、やはり秋田県人の皆様の内陸線を想う強さとしか言いようがないと思った。
 

今日は内陸線を回ることしか予定にないので、阿仁異人館・伝承館に立ち寄ることにする。

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異人館はかれこれ30年近く、展示物が入れ替わっていないようだった。実際は違うのかもしれないが、これで400円はどうかねぇ…
阿仁合の踊りの歌詞には吉原遊郭を思い出させるみたいな内容がある、という解説が書かれていたがいまいち意味が分からず。全然更新してないなこれと思ってしまった。

異人館にあった観光マップを手にして少し歩いてみようかと思ったが、この日は30度越え。
暑くて、歩く気もなくなり裏の阿仁川を眺めただけで終了。

駅の隣にあった内陸線資料館の建物にも入ったものの、非冷房で蒸し風呂状態だった。
もしも昭和という多少なりとも活気が残っていた時代に国鉄民営化がされていなかったら、内陸線は南北接続もされず、こうして残っていなかったかも…
そう思うとやっぱり大切にしないといけない路線なのかなと思った。

 

阿仁合15:27→15:40阿仁前田 秋田内陸線

乗客10名。
阿仁前田駅は駅の横に温泉が併設されている。
第三セクターの駅では珍しいタイプ。お湯は塩化泉でしょっぱかった。

 

 

阿仁前田17:08→17:12前田南 秋田内陸線

前田南駅は、かつて「君の名は。」のワンシーンに似ているとして聖地巡礼の対象になった場所。

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映画に出てくるのは後半のほんのわずかなカットだけだが、確かに確認すると同一としか思えない。特定した人、ホントすごいな。

最も盛り上がっていたと思われる2016年9月から10月にかけては、駅ノートに猛烈な数の書き込みがされていた。横に口噛み酒のレプリカが置いてあって笑ってしまった。
失礼ながら、こんな何もない場所にこれだけの人が詰めかけていたのか…
撮影地点には看板があって、どのようなレンズで撮影すればよいかまで指南してある。


ノートには作品への愛で溢れたコメントや、自筆の絵が残されていて癒された。

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さすがに2019年になって訪れている人は(駅ノートを見る限り)まばらだった。

まだ話題になる直前に書かれたと思われる「このビッグチャンスを逃すな!」とか「まさか地元が有名になるなんて」という秋田人の書き込みが目を引いた。
公式発表はないが、地域振興からすれば、 作者が何らかの意図を持って過疎地のこの場所をわざわざ選んだのなら慧眼すぎる。


なお撮影スポットは駅から100mぐらいの距離があるので、写真を撮るのと、列車に乗る事を両立させるのはかなり難しい。
よほどの運転手の厚意がない限り無理です。私は駅の写真だけ撮って諦めた。
映画のシーン云々を除いても、周りの緑一色の風景は格別だった。

 

■前田南17:40→18:29 鷹巣 秋田内陸線

乗客2名。鷹巣駅は夕日が眩しかった。

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内陸線は今後も応援したい。東南アジアに何度も行っている人間が、秋田は遠いと口にするのも変なのでやめておく。

駅前のビジネスホテル八木に宿泊。
もうちょっとこの古めかし過ぎる外観何とかならないのか。こんなに暑くなるとは予約したとき考えもしてなかったので、当初予約していたエアコンなし(!)の部屋を1000円払ってある部屋に替えてもらった。


まあ立地だけでよいなら十分なところ。
朝買ったチャーハンを夕食にしようと思ったら、黄身が跡形もなくなってぐちゃぐちゃになっていた。

(2へつづく)