アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

奥能登路線バス満喫レポート(2)

能登半島の路線バスは複雑怪奇な系統が多いことで有名です。

かつてのと鉄道が廃止されて運行を開始した黎明期のころは、かなり混乱を巻き起こしたそうですが、今回の旅程をつくる際にも「このバスはどの道を通るんだ?」と悩んでしまう地域がいくつもありました。

昨年、この地域の北鉄奥能登バスが乗り放題になる「奥能登まるごとフリーきっぷ」が発売され、それだけ複雑なら乗りこなしてみたいと興味がわき、2カ月近い準備期間を経て実現に至りました。

 

★輪島馬場町9:12→9:43曽々木口 宇出津駅行き

 

バスに、誰もいない…

この時点では、これが至極当たり前になるとは思いもよらなかった。

 

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かつて水曜どうでしょうで鈴井先生がレクチャーした白米千枚田を過ぎ、まさしく荒涼たる風景のただ中を突き進む。山なのでアップダウンが激しい。この日は大時化で、波が荒かった。

 

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★曽々木口9:50→10:41狼煙 狼煙行き

 

能登半島路線バスの旅としてプランを組むと、最大の障壁となるのが「大谷~木の浦間」を含む区間である。1日3往復で、土休日は1日1往復。すなわち曽々木口⇆狼煙間の1本しか無い。すべての旅程をこのバスに合わせないといけないのだ。これが、第一条件である。

次に第二条件として、全行程を海が見えるルートにしたかったので、数多くのルートが存在する珠洲~穴水間で、乗車するバスを県道を走る「小木町経由」と「岩車経由」に限定。門前方面は時間の都合で行かなかった。

この時点で、時計回りのほうが全体的に接続が良好だと判明したので、こちらを採用。

最後に、どこに泊まるかを考えた。第一候補は穴水だったが、駅の近くに全く宿が見つからず、あえなく断念。

第二候補は七尾・和倉温泉。しかしこれも、のと鉄道の始発に乗っても、輪島で何と4分差で前記の宇出津行きバスに乗れない。これも不採用。結局、輪島泊となったという次第である。

あとで調べたら、この狼煙行きは平成27年3月の改正で新設されたもので、それまでは土休日に一周することは不可能だったとか。

また今回、北鉄奥能登バスが乗り放題になる「奥能登まるごとフリーきっぷ」を使ったが、これも平成27年7月から新しく発売になったもので、こういうのを機運が高まるというのだろうなぁと思った。私はあまり路線バスの旅が特段好きというわけではなかったが、やはり1日1本とか、秘境じみた場所には惹かれる。

 

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珠洲の国道は立派なトンネルが多かった。

 

狼煙到着後、運転士氏が、禄剛崎はこの坂を登っていくとあるから、と案内してくれた。

しかし坂を登れど、灯台が見えない。どこだよと思いながら、レストハウスのトイレを横切ったところに、禄剛崎灯台が姿を見せた。

稀に見る最果て旅情あふれる岬だ。暴風だったが・・・

 

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帰り際、運転士氏に「禄剛崎、見に行けたか?俺は(曽々木口に)帰るから」と声をかけられた。

 

 

★狼煙11:10→11:52すずなり館 能登飯田行き

 

私1人。綱渡りの乗り継ぎ。

また私しかいないので、運転士と雑談した。「北陸新幹線、俺はまだ乗ったことねぇなぁ~」との事。

 

となりの葭ケ浦で4名乗車した。輪島から2時間以上1人だった記録がここで途絶えた。ここには、ランプの宿という地味に人気のある施設があるらしい。

 

小泊付近はほとんど人が住んでいない廃屋群だった。

蛸島から、のと鉄道能登線(平成17年年3月31日廃止)の路盤跡がちらほら風景に加わる。蛸島駅付近では平成22年ごろまで、廃線跡で運転体験をやっていたらしい。蛸島駅の近くにNT100形が放置されているとの話だったが、国道からは確認できなかった。

 

「すずなり館」とは旧珠洲駅の跡地にできた道の駅である。施設の横に、プラットホームが半分くらい保存されている。もともと旧珠洲駅の立地は市街地から離れているので、あまり街に来たという実感がない。珠洲市自体、人口が1万5000人なので派手な市街地がないのかもしれない。

 

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この道の駅では土産を売っているが、食べ物はなかったので、近くにあったサークルKで昼食として、おにぎり等を購入した。これが数年後にはファミマになっているのだろうか…?

 

次のバスに乗るため、病院へ移動。徒歩4~5分で着く。

 

 

珠洲総合病院12:51→13:14見附島口 穴水病院行き(十八束経由)

 

乗客2名。

このバスはすずなり館を通らず、すぐ北にある病院から珠洲市街地へ直行する。

すずなり館はあくまで「特急バスが発着するターミナル」という位置付けらしく、路線バスは病院発着のほうが多い。

この系統を理解するのに2日ぐらいかかって、1月の三連休をつぶした。

 

 

「見附島口」というバス停が路線図を見てもどこにもないので、本当に経由するのだろうか?と疑心暗鬼になったが、バス停に降り立ってはじめて、謎が解けた。「宝立小学校前」というバス停が名称変更したものが「見附島口」のようだ。宝立小学校は平成24年に小中一貫校として生まれ変わったらしい。改めて、能登半島路線バスの変幻自在ぶりを感じた。

 

 

 

見附島口で降りたのは、見附島を見るというのもあるが、「国民宿舎のとじ荘」の温泉に入りたかったから。

さすがに乗り通しは疲れるので、アクセントとして丁度いいかなと思って立ち寄った。

この日は男性用が内湯のみだったのが玉に瑕。

風呂で珠洲のお喋り好きなお爺さんと雑談し、「楽しく働け」という金言を頂く。

仕事をしっかりとこなせるようにして、楽しく働くというのはなかなか大変なことであるが…

 

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★見附島口14:30→15:27宇出津駅前 宇出津駅前行き(小木経由)

 

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乗客は最初誰もいなかったが、宇出津駅到着時には3人になっていた。

 

のと鉄道廃線から11年も経っているのに、旧恋路駅や旧九十九湾小木駅、旧波並駅などの放置ぶりは尋常ではない。いまだにホームがそのまま残っている。地域住民の未練があるのか、単に撤去するお金がないのか…

沿線の過疎ぶりを見るにつけ、のと鉄道は仮に存続していたとしても、平成28年時点では廃止になっているかもしれない。

ただ個人的には、もう少し存続に向けて、もがいて欲しかった。鉄道に乗って観光しましょう、みたいな萌しが全国的に出てきたのは平成20年ごろからだと思うので、残念でならない。乗りたかったし…

 

 

★宇出津駅前15:37→17:01穴水駅前 穴水病院行き(岩車経由)

 

縄文真脇から寝落ちして、運転手に起こされた。旧宇出津駅は「コンセールのと」という図書館などが入った公共施設になり、駅の痕跡をとどめるものは、ほぼ無い。建物の後ろの方に申し訳程度の広場が少しあるだけ。

 

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穴水病院行きは、他の乗客が能登桜木までで皆降りてしまい、その後まったく乗降がなかった。これだけどのバスも閑散としているのは、日曜だからだと信じることにする。

 

このバスも延々と海沿いを走るので、風景を楽しめた。古君、沖波、黒崎付近は路線バスが走る道では無いだろうとおもうほど狭隘な道路で、曽良~鹿波東間は、全く人家がなかった。椿崎マリーナというバス停の近くは別荘地のようだったが、帰宅後航空写真で確認すると、ほとんど分譲されていないようだった。バブルの爪痕は重い。

 

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旧中居駅も、ホームがそのまま残っていた。珠洲からずっと雨が降ったりやんだりしているので、自分と一緒に雨雲が付き添ってきていたような気がしてならない。

 

24時間ぶりに戻ってきた穴水駅で遠藤力士のグッズを買い、昨日見学できなかった「のと恋路号」の車両をながめた。

 

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◉穴水17:23→18:04七尾18:07→19:31金沢 のと鉄道七尾線普通

 

七尾駅では老兵と揶揄される455系車両と遭遇した。

発車ベルにしても、雰囲気が国鉄七尾線といっても過言ではない。

1年半ぐらい前に、北陸線を走る475系の乗り納めをやったが、結局同じことをしているんだよなぁ…

 

◉金沢19:39→22:06上野 北陸新幹線「かがやき516号」

 

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七尾線が4分ほど遅れて到着したので、危ない乗り換えだった。

 

ようやく開業後初めての北陸新幹線乗車。

D,E席に座っている乗客が、ほとんど女子旅勢だった。

やはり速さにはかなわん。かつて「ムーンライトえちご」から富山へ向かった時間の長さを考えると、違う時代に迷い込んだかのようだ。

 

(終)