アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

魅惑のウズベキスタン(4)孤高都市ヌクス・モイナク

ヌクスってどこ??

自然な感想である。
ヌクスは一般的にウズベキスタンの観光においてはあまり語られることもない都市。目立った観光地が他に比べてないからである。

 

ヌクスは、「カラカルパクスタン共和国」というウズベキスタンの内部にある小国の首都であるとされており、実際に街にある国旗は、ウズベキスタンの水色と白と黄緑色の国旗の他にカラカルパクスタン共和国の国旗がはためいている。

日本の概念では受け入れがたい形ではあるが、ヌクス自体はあまり観光する場所もないので、北西部のモイナクというアラル海沿いにある旧港町へ観光しに行く現地ツアーを申し込んであった。

夜行列車からの朝陽

 

駅でガイド氏と運転手の方に挨拶をしてスタート。

朝食を摂った後、早速モイナクまで約2時間半の茫漠たる道のりをひたすら走行。

途中のクングラード付近からは道路の路盤状況が悪くなり、道路が陥没しているような箇所を避けるために、車が対向車線に動いたりを繰り返す。
アクロバティックな運転で写真を撮っているどころではなくなった。半分ぐらいは寝ていたように思う。

道路状態があまりよくない
◆モイナク・アラル海博物館

まずモイナクのモニュメントがあるスポットに到着し、ガイドの解説を受ける。

モイナクモニュメント


アラル海は灌漑事業で干上がってモイナクは寂れてしまったということだった。学生の時に地理で学んだ覚えがある。
この後に訪れる博物館の前に、アラル海の面積の変遷のボードがあったが、2000年代初頭から現在にかけてもかなり干上がっているのは私としては驚きだった。

その後北に少し進みモイナク市街地を通り、昔の漁船等が並んでいるスポットと博物館が建っているエリアに出る。

アラル海跡地(左奥に写っているのが博物館)


この船は後々にここに持ってきたものであるらしい。
確かに自然にこんな整然と並ばないよなとは思ったが…しかも一部はアラル海で就役していなかったものもあるという。なんでもありじゃないか。
立入禁止でもないので自由に船内に入り込める。甲板などはかなり劣化していて危険に感じた。船にはなんだかよくわからないモンスターの絵やロシア語の落書きがしてある。
中央アジア全体に言えることだが、我が東アジア界隈で見かけるような一般的に「可愛い」と形容されるキャラクターをまず見かけることがない。
私は日が経つに連れて、だんだんとこの可愛さの欠片もない枯れたような世界が重苦しく感じてしまうようになるのだが、それはまだ先の話である。

次に、博物館でビデオを鑑賞。ここに湖があったなんて言われないとわからない。

アラル海の変遷を説明する案内看板


しかしまさかここで日本人に遭遇すると思わなかった…大型連休様々ですなぁ。

一通りモイナク観光を終わらせ、どう見てもただの民家のようにしか見えないレストランで昼食。そして暫しのシエスタ(休息時間)。

昼食


シエスタは本当に日本にも導入した方がいいとこの旅行で強く思った。
旅行ツアーに来てるのにガイドと共に寝ているなどという体験は日本国内では考えられない。
日々静かな場所で休息も取るという行為からほど遠く、出国前にワーカーホリック気味だった私は、この辺りのゆるさを目撃してから、帰国していまいちペースが以前のように戻れなくなったように思う。

カラカル要塞・ミズダハン墳墓

私はモイナク観光でこのツアーは終わりだと思っていたのだが、まだ続きがあった。

帰りに要塞跡地とイスラム教墓地に寄ってもらえて見学させてくれた。
要塞跡地はただひたすらに広漠な場所であった。上に上がりにくくさせているのは日本の城塞と似たようなものか。
地平線の先がトルクメニスタンらしいが、近くて遠い国のような印象。観光客を碌に受け入れてない彼の国に行ける日が果たして来るだろうか。

この2か所は旅程の折り返しというところもあって果ての地に来ているという気分になり、ノスタルジーに浸っていた。

カラカル要塞

このガイドさんは熱心な方で我々が写真撮影等で少し席を外している間でも、他の居合わせた観光客に熱心にガイドをしていて、戻ってきた私たちはそれを横で見ているということがしばしばあった。

ミズダハン墳墓

 

この段階で昨日比でかなり体力が回復していたので、砂漠ツアーは楽しかった。

サマルカンドなどにいた時は気づかなかったが、ウズベキスタン、とりわけカラカルパクスタン国内は「ダマス」という車ばかり走っている。
タシュケントなどでも見かけたので、ここだけではないようだが、同じカラーリングをまとった同じ形式の車が何台も目の前を走っていくのは非常に新鮮な光景に映った。

「ダマス」

ホテルに戻り握手してツアー終了。

ヌクスは旅行情報がとにかく少なく、何とも心細い気分が続いた。
持参した某ガイドブックは3年前の情報で、結構肝心なところが違ったりしていて本当に大丈夫なのか疑念が拭えなかったので、ツアーに参加したのは正解であった。


夕食はホテル近くのトルコ料理屋でピザなどを食べて、就寝。

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