2020年10月、長期休止状態の日高本線鵡川〜様似間の廃止が正式に決まった。
今まで襟裳岬を行程に入れておきながら2度行きそびれており、思い残しはそれなりにある。これを逃すと次のきっかけはもうないかも。
代行バスに乗りたい気持ちはあまり強くなかったが、公共交通を使って日高に行くことはこれきり、今後二度とないだろう。そんな後ろ向きな使命感で旅立つことに。
前回からまだ2カ月しか経ってないのにまた北海道かと思われるが、目的地の設定は襟裳岬のみとし、道中種々の前回の北の大地の入場券や北の40記念入場券等のきっぷ・カードを蒐集することにした。襟裳岬以外の観光要素は皆無に近い。
2020年11月21日(土)
千葉4:50→5:21京成成田5:31→5:37成田空港7:00→8:40新千歳空港 GK103
4時起き。早朝便にもかかわらず6割ぐらい埋まっていた。世間が当てにならない今、旅行している人が多いことはとても喜ばしい。
この飛行機の定時到着に今日の旅程のすべてが懸かっているのでどうかなあというところだったが難なく定刻到着。今年はLCCでも平然と定時発着してくれるが、国際線が飛んでないのがやはり大きいのか。
新千歳空港8:52→8:59千歳9:11→9:33追分10:14→10:29南千歳10:38→10:58苫小牧 千歳・石勝線
座席を容易に見つけられる快速エアポートは気味が悪い。
追分行きは往復とも5名ぐらい。追分駅から散歩がてら「道の駅あびらD51ステーション」まで歩くが、坂が多く徒歩10分はきつい。
苫小牧のココトマで白老スープカレー。中辛なのに辛かった。当たり前か。スープにからんだ野菜の旨みがたまらないんですよ。カフェなので若干量は少ないが味には満足。最近集め始めたマンホールカードをゲット。
しかし苫小牧駅の内部はテナントが閉まりまくっていてがらんどうである。店が全くない虚無の空間のなかエレベーターのためにしか使われていない通路があったりする。どういう事情でこうなったのかよくわからないが、駅前は再開発がなかなか進んでいないようである。
苫小牧12:25→12:54鵡川13:04→14:39新冠 日高本線・代行バス
苫小牧から日高本線の乗車となるが、予想に反して客が少ない。
浜厚真駅の近くで鹿の大群を目撃。辺り一面原野か工場地帯。
鵡川から乗り換えた代行バスは乗客3名。大狩部駅は実際に降りないと駅が見られない。ここまで仕事明けとはいえバタバタのまま来たので富川から大狩部までほぼ寝ていた。
大狩部停留所の手前には「大狩部高台」という仮乗降場のような時刻表に載っていないバス停がある。
住宅に近いからなのかもしれないがなぜここだけ別にバス停があるのか。調べると集落からの通学客がいるから設置された模様。今朝苫小牧駅で入手した紙の時刻表にもこの高台駅の掲載はなかった。
厚賀・大狩部周辺では遮断棒のない踏切、草ぼうぼうで荒廃した線路が見える。二度とこの鉄路が復旧することはなくなった。
途中ちらほら乗り降りする客はいたが、全体的に閑散としたまま新冠到着。これで乗るのは2回目だが前回は学生で混んでいたので、実際通学客さえあてにしていれば日中に鉄道を復活させてまで走らせるのは無謀な需要だということがよくわかる。
道の駅サラブレッドロード新冠で北の大地の入場券を購入。駅から徒歩5分ほどで着く。
ここはレコード館というのが併設されており、昭和の時代を彩ったレコードの数々を手に取り見ることができる。ただ私はレコードを家庭で使っていたことすらない世代なので、円盤が置いてあるのを見てもなんだかなーという感じだった。資料館としての価値は出てくるのだろうが、有料コーナーも寄る人はいるのかな…という感想。
この道の駅は休憩できる場所がほとんどないので、併設されているセイコーマートのイートインでしばし休息をとった。
2時間ぐらいいたが新冠駅の周りはこの道の駅ぐらいしか時間をつぶす場所がないので暇を持て余していた。
自動車社会の交通網がガッチリ構築された現代の蝦夷地に、公共交通で来ているというその前提がそもそも間違っていることは、来る前から分かっていたことだが改めて痛感。すっかり辺りも暗くなり気温もグッと冷え込み静内駅へ向かう。
新冠16:49→17:00静内17:14→18:37浦河 日高本線代行バス
4年ぶり3回目。さようなら静内駅。日中なら沿道に馬が見えるはずなのだが、真っ暗。日が沈むのが早いわこの季節は…
3連休でしかも廃止される路線なのに2人しか乗ってない。日高三石から1人ぼっち。どういうことだ。改めて自身の異常旅行者ぶりを省みる。
今日泊まるのはゲストハウスまさごというところ。浦河駅から徒歩15分ぐらい。
ひとつの建物で宿・ラーメン屋・銭湯が併存しているという、なかなかユニークな場所である。
ラーメン屋の店主がとても気さくな人で楽しく会話。ニュースで北海道北海道と一括りにするのをやめてほしいと嘆いていたのが印象深い。何はともあれ長すぎる1日が終わった。