アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

三宅島・原付流浪の旅(2)

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ルート(地理院地図より加工)
 ▼メガネ岩 ★★☆[9:30]

メガネ岩といいながらも今はメガネの形ではなくなっている。片方は伊勢湾台風(1959)で潰れてしまった。

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めがね岩

奥に鎮座する大野原島と手前とのコントラストがあって良い。ある条件をクリアしないといけない島のような感じ。
今はメガネでない側に波が荒々しく岸に打ち付けていて、その迫力に思わず怯んだ。

▼今崎海岸 ★★☆[9:40]

海岸とは言いながらも周りは溶岩流の跡だらけ。
溶岩扇状地というものでこれは300年ほど前に形成されたらしい。

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今崎海岸(の山側)


雄山を振り返ると火山ガスの影響で立ち枯れた木々がそこかしこに立っている。野付半島のトドワラのような枯れ木がそびえ立つさまのようだ。
かたやハマカンゾウが根を張っている。こんな溶岩だらけの海岸でも草木が生えているのはさすが夏だ。

▼火山体験遊歩道 ★★★[10:00]

今崎海岸から来て阿古小・中学校の被災した建物が目の前に立ちはだかるが、そこを右に曲がると入口がある。結局私は迷いに迷って伊ヶ谷側の小さな道から入った。
一面に溶岩流の跡が広がる。遊歩道が整備されているが、全体的に人が歩いていないのか草ぼうぼう。あたりは溶岩だらけの中をただ歩いてるようなところ。

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火山体験遊歩道


30年経ったとはいえ、これだけの草木が遊歩道の周りから生えているというのは植生の力ってすごいなと感嘆するばかり。
今が夏真っ盛りというのはあるが、ガイドなどに載っている三宅島の過去の写真を見る限り、眼前にあるこの風景はほんとに緑が増えたんだなと認識させられる。
それにしても全然普通に観光している人がいないのだが、あの船から降りた人たちはどこへ行ったんだ。みんな海か釣りなのか。
阿古小中学校は溶岩が流れてきた日は奇跡的に振替休日で人的被害はなかったらしい。結果的にこの建物が下の集落への泥流をせき止めているし、「持っている」建物だ。
しかしここを観光していると「1983年10月3日に予兆もなく突然噴火が起きた」とあちこちの案内板に書いてあるので、今この瞬間にも来たら帰れねえじゃんというシャレにもならないことに自ずと思いが及んでしまう。職業柄というか、リスク病だな。

この周辺というか三宅島全体は、とにかくアブが多い。噴火の影響か昆虫は全然いないのにアブだらけ。原付に乗っていても衝突した。

▼薄木溶岩流 ★☆☆ [10:40]

1983年の噴火の時にここにも溶岩流が流れてきた。雄山側は草木に阻まれよく見えなかった。雄山側ではなく海側にも火山体験遊歩道と同じような溶岩が広がっている。

▼七島展望台 ★★★ [11:25]

阿古地区から雄山の道路を上っていくと、環状林道にぶつかり「わくわく椎の木ランド」と書かれた青いサイロが見え、骨組みだけの建物とボロボロの石造りの建物がある広場に出る。
2000年の噴火とその後の全島避難でこの一帯から人影と建物は消え去った。

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人も、鳥も、虫もいない

トイレの前には噴火する前に書かれた案内板があり、この骨組みはレストハウス跡だということが分かった。それ以外にも色々書いてあるのだが、それらしき建物は全く影も形もない。ガス濃度検査の「ピ・ピー」という音が数秒おきに響き渡る、世紀末のような場所。
私は三宅島のことを丹念に調べてきたわけではなかったので、昨日のアカコッコ館で島の歴史を予習してきたのが効いた。
七島(しちとう)展望台は旧レストハウスの横の道を進んだ丘にある。この日は天候も上々で伊豆諸島の島々をほぼ全て見下ろすことができた。大変満足。

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七島展望台
▼大路池展望台 ★☆☆ [11:45]

七島展望台から東寄りの林道を進むと途中から急激に鬱蒼としてくる。展望台からは眼下に大路池を望むことができる。桟橋は見えなかった。
クルマで来るのは無理とは言わないが道幅は狭隘で、やめたほうが無難。

▼沖原海岸 ★★☆ [12:25]

大路池展望台からそのまま林道を巡って神着地区へ抜けようと画策したが、通行止めだったので坪田・三池回りで行くことに。
ここも海岸に溶岩が転がっている三宅島ならではの光景。ハマカンゾウなどの植物がそれに花を添えている。だんだん運転しすぎで肩が痛くなってきた。

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沖原海岸と御蔵島


この海岸の近くにGIZMOというレストランがあるが、臨時休業だった。周りにほぼ家がないのにこの立地はすごい。

▼ひょうたん山・赤場暁 ★★☆ [12:40]

赤場暁のスポットの看板には背後に海食崖が見えると書いてあるが、この看板だけ見て赤場暁を把握するのは夏場はかなり難しいと思う。

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三宅島の観光地に必ずある「ジオスポット看板」



ひょうたん山の浜辺に出る道路は、多分今まで通った三宅島の道の中で最も激しいダート道だったので細心の注意をはらい時速10キロぐらいで走った方が良い。これだけ自然しかないと、だんだん大自然のなかに心も溶け込みそうになってくる。

▼とんとん★★★ [13:05]

味噌チャーシューメンを食べた。チャーシューの量がすごい。これはなかなか良い店だ。味噌の濃い味。
店主はお客さんがいっぱいで忙しく不機嫌そうだったが、私が入ったタイミングがたまたま良くて出る頃には並んでいた。三宅島は飲食店少ないからなあ…

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味噌チャーシューラーメン(900円)

私は端から三宅島の地の物を食べることは諦めていたのでこれで満足。

 

▼伊豆岬灯台 ★★★(2回目)[14:30]

再び伊豆岬灯台を走って伊ヶ谷林道を通り七島展望台方面へ向かう。
いや〜、やっぱりこの岬にたどり着く前後が一番景色が良いと言っても過言ではない。とても東京都とは思えない。お気に入りのスポットになった。

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大野原島とハマカンゾウ
▼笠地 ★☆☆ [14:55]

2000年の雄山噴火まで「三宅村ふれあい広場」という牛などの動物とふれあえる施設があった一帯。噴火の際、この施設は壊滅。
島民は島外に避難したが、広場の家畜は置き去りにせざるを得ず全滅したとのことだった。開設わずか5年しか経っていなかったとのこと。
先ほどの七島展望台に行く前にあった昔の案内板にははっきりとこの笠地地区に色々な施設があったとと書かれている。
笠地観音というものもあったらしいが、ここを走っていてもまるでそういう建物があったという痕跡が見当たらずおぞましい。
三宅島ガイドブックでは噴石にやられた牛舎が見れると書いてあるが、夏場なので道路際に草木が生い茂っていて全く視認できなかった。

www.arinoki.com

普通の廃墟巡りならこのコンクリートの跡はこうだろう、みたいな推測ができるのにここに関しては最初からそんなものはなかったかのような感じだ。
かろうじて駐車場の跡らしきものが少し確認できるだけで施設どころか道路すらわからない。Googleストリートビューを見ていてもうっすらと道路みたいなものが辛うじて見えるだけだし、火砕流とは恐ろしい。


ここからまた下って阿古・薄木地区に出たが、火山ガスの影響で立ち枯れた木がまた三宅島らしい風景。

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御蔵島・新澪池跡・新鼻新山(右)
▼新鼻新山 ★★★(2回目)[15:50]

またしても新鼻新山に来てしまった。「にっぱなしんざん」と読むらしいが、この命名自体が昭和らしいなぁ。平成以降にこの山が誕生していたら全然違う名前がついていたような気がする。
この新山の赤い色が映える写真を撮るには陽当たりからして午前中に来たほうがいいということだわかった。午後に来ると思いっきり西日。
昨日も思ったが、山から見る御蔵島の圧倒される感じは写真では伝わらない。

 

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新鼻新山

これで島の観光要素は一通り見たので今日は終わりにする(16:55)。今日もふるさとの湯でひとっ風呂浴びて終わり。ふぅ〜…しあわせ。
旅が終わってから振り返ると大自然の中、2日連続の湯治でこの後驚くほどメンタルが安定したのでお風呂の効能はすばらしいな。

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日の入り(ふるさとの湯駐車場)