アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

三宅島・原付流浪の旅(1)

東京島嶼部の、初めて伊豆大島より南への挑戦。

このところ電車絡みの記事しか書いておらずマニアまっしぐらだったが、海外ドハマり時期は文字通りの観光がメインだったはずなのだ。
というわけで実に3年前の波照間島以来となる「非鉄」の旅となる。きっかけは3つ。
①私の乗船歴で最長の航路は長らくジャンボフェリー(三宮→高松・4時間)だったので、それを更新したかった
②伊豆諸島のなかで最も興味を惹かれたのが、噴火の歴史を持つ三宅島だった
③原付の旅をしたかった

原付は本来長崎県対馬で計画していたところだったがレンタルバイク屋が現在貸し出しを停止していて実行できないため、このさい三宅島で実行することにした。1週間前に起きた八丈島群発地震におびえながらも出発。

竹芝桟橋22:30→4:50三宅島 東海汽船3400橘丸

宿泊旅に2カ月以上出ていなかったため、旅行芸人として好ましからざるべきことだがどうやって準備して旅に出ていたんだっけ?という感覚にはまる。ダメダメ。

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橘丸


出航の瞬間に興奮。橘丸でシャワーが使えるのは特一等以上です。ミス。この日はかなり混んでいて甲板のそこら中で宴会が開かれていた。あんまり夜更かししてもしゃあないのでさっさと就寝。

特2等船室で爆睡し、アナウンスで叩き起こされる。言い方は悪いが目覚ましなくても起きられます。今日は錆ヶ浜(阿古)港に入港するとのこと。
三宅島の特徴として到着する直前まで、海況によって島に3つある港のどれに入るかわからない。今日時点で今月既にすべての港への入港実績があるということでビクビクしていた。これには帰路も悩まされる。
錆ヶ浜(さびがはま)は最も集落に近くホテルに歩いていけるところなのでビギナーとしては胸をなで下ろした。なお他の港に着いても、港に待機している路線バスに乗れば島の各地区に行ける。

体感としては半分ぐらいの客が下船した。下船口を降りた最初の島の印象は、緑が多く建物が少なく、予想以上に村だな…というものだった。

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三宅島への第一歩を踏み出した

朝5時についてどうするんだとは言わずもがなであり、三宅島の大抵の宿泊施設には朝に宿で横になれるというのがサービスとして付いているらしい。船で島に行くという構図しか考えてなかった私は、出発前日になって泊まる宿で朝の仮眠ができないことを知らされ慌てて島で唯一のホテル「ホテル海楽」のお世話になる事にした。
朝休憩は多少カネかかっても絶対取ったほうがいい。ホテル海楽は下船後すぐ朝食が取れるのも大変ありがたい。朝食9時半ごろまで仮眠を取った。
その後、バイク屋のおやじに迎えに来てもらい、レンタルバイク屋でレンタルバイクを借りていざ出発(10:10)。

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ルート(地理院地図より引用)
西部の錆ヶ浜から時計回りにスタート

(★は独断による観光地評価)

▼伊豆岬灯台 ★★★[10:35]

最初にたどり着いた伊豆岬灯台の風景でまず感動した。灯台に向かって都道を外れて走ると、日本離れした風景が眼下に広がる。なんなんだここは。北海道か?三宅島の観光において伊豆岬灯台は外せないスポットになっていいだろう。

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伊豆岬灯台

この後も何度となく見る神津島式根島・新島の島々をここで初めて眺めた。伊豆諸島の位置関係をガッチリ掴んだ。現場実習に勝るものなし。

▼せいだい・岡太楼本舗 ★★☆[11:00]

三宅島にはコンビニなんてない。集落に一つずつぐらいあるスーパーが食料補給の頼みの綱である。歯ブラシを忘れるという致命的ミスを犯したので神着(かみつき)地区にある「せいだい」(スーパー)には大変助けられた。建物の見てくれからは想像できないがスイカなどの電子決済も使える。
近くの岡太楼本舗では牛乳せんべいという三宅島名物のお土産を買うことができる。サービスでアツアツのせんべいを食べさせてくれた。牛乳せんべいはここに限らず錆ヶ浜の観光協会やスーパーの至る所で売っていたので、敢えてここで買う必要はないと思うが、おばちゃんたちが好意的なのでおすすめ。

▼椎取神社 ★★☆[11:50]

2000年の溶岩流の泥流のために元々の鳥居が埋まってしまった場所。着くと真新しい赤い鳥居があるが、その左の道路際の隅のほうを歩いて行くと泥流に埋まった元本殿と鳥居があり、なかなか哀愁を漂わせるような風景になっている。

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元・椎取神社

案内板がいまの鳥居と少しずれたところにあるので、これ言われないと多分分からない。現社殿の奥には祠のような本殿があり神秘的である。

▼三七山展望台 ★★☆[12:25]

展望台には来たもののどれがどの山なのかいまいちよく分からず。
なんかコンクリートで固めたわけでもないのに黒ずんだ山が広がるのは、あまり見たことのない風景ではある。

▼サタドー岬 ★★☆[12:50]

サタドーというのはヒンドゥー語で地獄という意味らしいが、なぜサタドーやナタードとこの辺だけ外来語の地名があるのかがよく分からない。

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サタドー岬


サタドー岬の灯台自体には入れないがその脇を海のほうに歩いていくと立派な柱状節理が拝める。さらに先の突端部には意味深な階段があり、その上に昔何かあったのかと思わせる台座が佇んでいる。RPGの最後に出てくる砦のようで非常に魅惑的だと一人で興奮していた。
あとで調べたら遠い昔ここには風力発電施設があってその電力で灯台は稼働していたらしい。大きな岩が転がっていて慎重に行かないと危ないし、台座の先は柵もない崖なので、あまり行くのはお勧めしません。
ただ、ここに立てばダイナミックな景色のひょうたん山を横から俯瞰することができました。

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ひょうたん山
▼彦七 ★★★[13:25]

昼食。内地より多少和らいでいるとはいえども、暑くてやってられん。三池地区の貴重な外食店でとてもにぎわっていた。三宅島空港のすぐ近くなので食後、用もないのに待合室を覗きに行った。超小型空港。

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もりそば(900円)

 

アカコッコ館 ★★★[14:00]

入場料200円でアカコッコという鳥のバードウォッチングができる場所。三宅島の歴史の勉強もできる。三宅島はここ100年で4回噴火している。
ここでアカコッコの鳴き声をなんとなく覚えたので、この後いくつかの場所でアカコッコを捕捉できるようになった。

▼大路池 ★★☆[14:40]

大路池(たいろいけ)。アカコッコ館の先にあるが、私の行った南側桟橋は階段をかなり下った先に地図で見る以上に遠い。北桟橋はクルマでも近くへ行けるようだ。ゴール地点には桟橋がちょこんと突き出ているだけ。鳥の鳴き声が四方八方から聞こえる。ガイドブックにはさえずりのシャワーと書いてあるが言い得て妙。
ここもRPGゲームのボーナスステージにこんな場所あるよなという感じの趣が出ている。

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大路池南桟橋


宿の人の話では、早朝の日の出ごろに来ると鳥のさえずりのボリュームが凄まじいスポットだとのこと。

▼新澪池跡 ★☆☆[15:05]

1983年まで湖だったのに、噴火の影響で一瞬にして蒸発したという池。
休憩所のような空間があるが、夏場ということで草木が生い茂り、池の跡を視認するのが難しい。この池の跡はのちに行く展望台の途中の道路からのほうがはっきりと視認できた。しかしここも全然人がいない。背後に見える御蔵島の威容たるや。

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新澪池園地から御蔵島を望む
▼新鼻新山 ★★★[15:25]

それよりも下の方にある新鼻新山の方が地理好きとしては非常に興奮した。
新澪池から下ると、朽ちた柵で囲まれた雑木林が広がるディストピアのような空間にぶち当たる。植生を回復させるためのようだがあんまり手入れもされていないようでよくわからない。右のほうに歩いていくと防風柵があるが防いでいる囲いの中は何もない。これらは何なんだろうか…。

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誰もいない新鼻新山への道…


下ると1983年の大火砕流によって生成されたというスコリアが広がる。海岸には岩が転がっているばかり。こんな地形はここ以外では見られないのではないか。

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新鼻新山(突き出たところ)

久しぶりに風景で背筋がゾクゾクする瞬間を味わった。エヴァンゲリオンの赤い海に近いものを感じる。脳の中で風景を処理できない。厨二病みたいなことを言ってしまったが、そんな気持ちにさせられる場所。

▼ふるさとの湯 ★★★

まだ15時半だが汗がひどくて限界のため、ふるさとの湯でひとっ風呂浴びて今日の行程は終了。島で唯一の温泉施設。
長い間台風災害で休業していたらしいが7月5日に再開したとのことで、すげータイミングの良さ。救われた。

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ふるさとの湯

三宅島を観光するのに最大の障壁はとにかく外食をする場所がなさすぎるということだった。ひとつの店がもし臨時休業なのを知ったら大幅にルートを替えなければならなくなったりするので難しい。
思った以上に観光地を一日で廻れてしまった。このさい三宅島ガイドブック(東京都総務局三宅支庁産業課発行)に書いてある見どころはすべて見てみようという気概で明日も臨む。