アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

日本最南端・波照間島(2)

2018/1/12

 

■石垣港8:30→10:00波照間港 ぱいかじ2

 

朝8時に宿のクルマで離島ターミナルまで送ってもらった。

波照間航路は新造船「ぱいかじ2」が2017年10月に就航し、3往復のうち「ぱいかじ2」が入る朝の1往復の就航率がアップしているとのこと。波照間島への航路は冬季は50%に迫る欠航率で旅人泣かせといわれており、島に渡れずに泣く泣く帰っていく人も後を絶たないという。そういう意味では新造船はこの航路の救世主といえる。というか「南風」で「ぱいかじ」と読むのか…

 

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これとは別にほぼ確実に出航し島へ渡れるが、揺れがひどいと言われる貨客船もある。

当初はそちらに乗る予定だったが、「ぱいかじ2」の存在を知ってあっさり変更。船酔いに耐えられる自信はあんまりないので安全に行こう。

乗客20人ぐらい。さんぴん茶を購入して沖縄に来た気分を上げる。

 

波照間島に近づくにつれて揺れがひどくなり、10:10接岸。若干青い顔をして船着き場に降り立つ。

宿の方に迎えに来てもらったので送迎車に乗り込む。

 

途中で泡波の販売店(泡波酒店)に寄る。金額を見たら、同じ泡波なのに昨日石垣の土産屋で見た瓶と10倍近く値段の開きがある。
内心なんじゃこりゃ???と叫びつつも、次いつ来るか分からなさすぎる土地なので惜しみなく買わせていただいた。

 

一旦宿に入り一通り島の説明を受けた後、宿の自転車でいざ波照間島サイクリングへと出発。以下回った順番にオススメ度とともに雑文を書いていく。

 

波照間空港 ★☆☆ 11:30

長年定期便が就航していない空港。建物は新しいが中には入れない。

職員が怪訝な目でこっちを見ている。粟国島に就航した同型機が事故を起こしてから10年近く就航してないらしい。船でも3ケタいかないのに就航して人が乗るんだろうか。蛇足だが宿の話では波照間島に日帰りするツアーはあるが、ホテルがないので泊まるツアーはないとのこと。

定期航路がないのに滑走路を延長するという話があるようだ。もはや国防上の空港という趣が強い。周りは人より牛のほうが多い。

 

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◆星空観測タワー ★★☆ 11:50

 

プラネタリウムは故障中。案内の文面を見るに直す気もあまりないようだ。1階の窓口で証明書を買った。

しかしほとんど人の来ないここで勤務しているというのはどんな気持ちなんだろうか。

北風が強くてサイクリングにはあまりに向いてない。

 

◆最南端の碑・高那崎 ★★★ 12:00

銚子の地球の見える丘展望台を訪れて14年、本当に地球が丸く見える場所に来た。岬マニアとして、残るは与那国島だが、ぜひ航路を使って達成してみたい。こんなに雲があって日焼けの心配がないサイクリングもよい。このサイクリングをしていて全くと言っていいほど人という人に遭遇しなかったが、ここは唯一、他にも観光客が3~4人いた。

高那崎をあわせて30分近く居座っていた。果ての地の情緒はいいんだけど、最南端に来たのにパーカーを羽織らないといけないなんて…。

 

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写真の白い建物が星空観測タワー。

 

◆ぶどぅまれー ★★☆ 13:30

宿で紹介された店がことごとく休みで、ここに行き着く。ソーキそばを食う。島唐辛子はもはや酒だ…

高那崎であった観光客の皆さんと再会。

波照間島は一日あれば十分という話をした。

 

下田原城跡(ぶりぶち公園)★☆☆ 14:20

本土復帰を記念して作られた公園のようだが、すっかりジャングルと化している。遺跡に来たよう。

石垣本島の730交差点の記念碑などに代表されるように、本土復帰という出来事はいろいろな建造物を沖縄につくる契機になったようである。

 

◆ニシ浜 ★★★ 14:55

ここでも「ぶどぅまれー」で会ったおじさんと再会。

日本にこれ以上の美しい海なんてないんじゃないか。浜辺で寝たかったが、気温が低すぎてムリだ。

 

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◆モンパの木 ★★★ 15:30

素晴らしいデザインのTシャツが揃っている店。営業時間が異様に短い。

店のお母さんと1時間近く立ち話をした。こんなに人がいなくて寒い波照間はなかなか体験できないとか、石垣市は年々観光客が増える一方だとか。石垣空港には台湾・香港や韓国からのチャーター便が次々と就航しているという。

波照間島までもが外国人観光客に知れ渡った日には…と思うと、虫酸が走る。いつまでもこの島はこのままでいてほしいと願う。

 

◆底名溜池展望台 ★★★ 16:40

冨嘉売店で黒糖などを買ったあと、時間が余ったから行ってみることにした。

秘境感満載。写真奥の丸い石積みが展望台だが、牛舎の横のあぜ道を通っていかないとたどり着けない。何の案内看板もないところが素晴らしい。ベタ褒め…。

自分しかいない世界で180度の景色を独占でき、展望高台の上でえもいわれぬ感慨にふける。世界で生きているのが自分だけになったよう。

 

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◆シムスケー (古井戸)★☆☆ 18:10

波照間一周道路をのんびり走っていたら次第に日が暮れて来て、日没で暗くなったら帰れなくなるかもしれないと、さすがに怖くなってさっさと見て宿へ帰った。ヤギは追いかけてきそうで追いかけてこない。

 

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夕食を食べながら普段あまり見ないテレビをオーナー女将と見る。この日の宿泊客は自分だけだった。ばあちゃんの家に来たような感覚で過ごした。
こんな果ての地で新潟大雪のニュースをみるのも妙だ。
でも尖閣関連のニュースはすぐそこで起きている事であり、本州で同じ報道を見ているのと受け取り方が変わってくる。この微妙な差が本州は冷たいとか批判されるゆえんなんだろうな。

 

深夜、外に出てみると昼間に空を覆っていた雲がなくなり、ほぼ満天の星空がキラキラ光っていた。
冬の大三角形の横にも、無数の小さな星がきらめいている。首都圏の「星が見える」とは次元が違う。あまりに圧倒的で声を失った。

 

波照間島に来る前、行ったことにある人に話を聞くと一様にすごくいい島だと言っていた。
実際に来ると一言ではなかなか表現できない。
言うなれば自分の常識のはるか上にある楽園。黄泉の国。死後の世界。ポケモンで言えば、マボロシじま。
うーん説明になっていない…。

 

でも、今までの蓄積があるから、島の美しさに呑まれる。のんびり自転車を漕いで、星野仙一さんの「ずっと野球に恋してよかった」という言葉を思い出した。これからも旅に恋したい。