アルプススノー社編集部

移動旅行、ときどき海外

九州の儚き風景(2)

■延岡8:29→10:13宮崎空港 日豊線宮崎空港線普通

713系サンシャイン編成。
普通列車なのに、座席がリクライニングし、テーブルが付いているという、変わり種な車両。
特急の座席をそのまま持ってきたらしい。

 

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延岡~宮崎間の車窓として最大の見どころは、東都農駅の前後にある、昔の宮崎リニア実験線(1977~1996)だ。

知らない人が見たら無用の構造物にしか見えないが、一部は国際航業太陽光パネルが取り付けられて活用されていた。

 

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宮崎空港内では、宮崎でキャンプを張っているプロ野球チームのグッズを販売していた。阪神DeNAは沖縄なのでここにはなかった。

 

 

宮崎空港10:36→10:41南宮崎 宮崎空港線

宮崎~宮崎空港間は、特例で特急の自由席に普通の切符だけで乗れる。
ただ、宮崎空港田吉間が普通運賃で280円は高い。特急料金が上乗せされているのと何ら変わらない。

 

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田吉で行き違った日南線の車内は、プロ野球のキャンプを見に行くお客さんたちで混雑していた。ジャイアンツの「阿部慎之助」というタオルを巻いている人が目についた。

 

南宮崎10:53→12:03都城 日豊線普通

宮崎にしても南宮崎にしても、県庁所在地都市にしては、あまりに人影がない。まあ平日の午前だからだと推察するが、この態様では群馬の前橋といい勝負だ。

 

都城12:06→13:35吉松 吉都線普通

乗客4人。西都城行から乗り換えた人は、誰もいなかった。しかし次の日向庄内で学生が10人ぐらい乗ってきた。その後も数人ずつ入れ替わった。

吉都線は九州で最も利用者が少ないと揶揄される割に列車の本数が多く、学生需要によって支えられているのを感じる。また、国鉄当時から姿を変えていない駅舎がかなり多いと感じた。

 

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車窓はお世辞にも起伏に富んでいるとは言いがたい。南九州で、この線だけ観光列車が走っていない理由がなんとなく掴めた。

 

吉松駅では最初温泉に入ろうと考えていたが、今晩は温泉に入ることが保証されているので、ここでわざわざ入ることもないだろうと取り下げ。しかし他にすることもなく、湧水町役場に用もないのに入ったり、農協のコープをふらふらするという半ば不審者のような行動を取り続け、1時間を棒に振った。

 

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■吉松15:16→16:35人吉 肥薩線「しんぺい4号」

14時50分ごろに駅へ戻ると、「はやとの風」から観光客がどっと降りて、俄然賑やかになっていた。

「しんぺい」は、ほぼ満席状態。

吉都線で到着したときには閉まっていたはずのホーム売店(「たまり」)が開いていて、結局ここで売っていた幕の内駅弁を昼食とした。

 

この区間は2013年10月にも乗車しているが、日本三大車窓を含め、景色は素晴らしいものがある。

 

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人吉につくと「九州横断特急が大幅な遅れで運行しているため、待合室でお待ちください」とのアナウンスが繰り返されていた(豊肥線遅延の影響)。駅員氏が慌ただしく動き回っていて、下車印はもらえず。結局九州横断特急は50分遅れで人吉を発車していった。この特急は今年のダイヤ改正で熊本~人吉間の運行を終了するとのことだが、遅れを解消することも目的の一つなのだろうか。

 

人吉駅では「MOZOCA」という、水戸岡ワールドを啓蒙実感できる施設に立ち寄った。今年オープンしたとの事。どちらかというと子供向けの展示が多かった。

 

 

■人吉17:27→18:11湯前18:41→18:49多良木 くま川鉄道

やってきたのは田園シンフォニーの車両。

ゆったりする間もなく、途中の相良藩願成寺駅肥後西村駅で学生が大挙して乗ってきて、車内は通勤電車並みの大混雑になった。吉都線の比ではない。

くま川鉄道は沿線にとても高校が多く、車内マナー日本一を目指しているらしい。田園シンフォニー車の座席には折り畳み式のテーブルがあり、学生として毎日これを使えるのは羨ましい。

 

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今夜の宿はブルートレイン多良木。

 

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はやぶさの寝台で寝ることができる。私ははやぶさを含めて、現役のB寝台ソロについに乗る事が叶わなかったので、こういう形で個室空間を味わえるのは、とてもありがたい。しかも、現役時代より安い。近くの温泉施設の入浴つきで3000円は破格値だ。

おそらく全国津々浦々眺めても、これだけ鉄道車両へ清潔に宿泊できる場所は稀有であろう。特に、トイレと洗面台が別個に増設されているのが大きい。

車内の通路を人が歩くたび、車体が若干揺れる。すぐ横をくま川鉄道の列車が通過すると、まるで生きた列車のように思えた。

休憩室に、なぜか野上電気鉄道の写真集があって、読み耽った。